『江戸の閨房術』渡辺信一郎著(新潮選書)。かつて枕絵というものがあったらしいが、昨年暮れから、僕の枕絵ならぬ枕元本として積み重ねてあった本。ようやく読んだ。
 江戸時代の色道指南書・奥義書を原文と現代語訳とともに紹介した本なのだが、豊富に収録されている図版や衆道に関する記述も圧巻だ。
 江戸の時代とはいえ、性愛に関して微に入り細に入るその探求や知恵にまず驚かされる。そして性愛にかかわる豊かな表現、語彙に現代日本語が失ってしまったものの大きさを痛感した。
 当時に比べたら現代は科学や医学といったものが少しばかり発達しているのだろうが、いやはや現代に比べても、勝るとも劣らない世界に冠たる性愛文化があったのだなぁと感動をおぼえた。その一端を覗き見ることができたことで、この本は僕にとって目ウロコ本となった。