川端裕人著『川の名前』(ハヤカワ文庫)。
 多摩川の支流に住む小学5年の川ガキたちの、ひと夏の冒険もの。 主人公の少年は近所の川で、奇妙な生き物の足跡をみつける。それは川には生息しているはずのない生き物であった。周囲に知られることなく、その生き物を保護、観察し続けたい少年たちであったが、やがて周囲の人間たちの知るところとなり、大人たち、はてはマスコミまでが・・・4人の川ガキたちの夢と冒険が繰りひろげられる。
 主題は少年たちの冒険にはない。それはまさにタイトルが示していることで、自分の居場所についてこんな表わし方があったのだということ、そしてヒトと自然とのかかわりについてもこんな考え方があったのだなぁと新鮮な驚きをもって読み終えたのだった。
 我が家にも小学5年になる川ガキが生息しているので、物語の中の少年たちの言動をどうしてもウチガキと対比しながら読んでいったのだが、この小説中の少年たちはどうもだいぶ大人っぽく感じられる・・・いや待てよ、それとも・・・ウチガキがアホなのか?